江差線・五稜郭~木古内で全駅乗下車してきました。〈その2〉

〈前回のあらすじ〉
2015年7月18日夜、江差線五稜郭~木古内で全駅乗下車するために東京を出発した私は、福島や秋田での寄り道をはさみつつ、「スーパー白鳥27号」に乗ってついに北海道に入り、最初の駅である五稜郭駅に降り立ったのでした。

1駅目:五稜郭 21:49着 22:00発(滞在時間 11分)

五稜郭~木古内には、両端の駅も含めて全部で12駅あります。私は、全駅乗下車の際のルールを決めていて、それは「特定の路線の駅であるとみなして臨む」ということと「『降りる→乗る』の順番で、両方の行動を完了して初めて乗下車したとみなす」ということです。

どういうことかというと、たとえば五稜郭駅ですが、ここには函館本線と江差線の2路線が乗り入れています。今回は、江差線が経営分離されるので、あくまで「江差線の五稜郭駅」と考えて降りにいくということです。なので、函館本線から乗り入れてくる列車で降りたとしても、それはルール違反と考えているということです。それがたとえ函館発木古内行きの列車であっても、あくまで函館~五稜郭は函館本線であって江差線では決してありません。なので、必ず七重浜方から来る列車で訪れて、七重浜方へ向かう列車で去っています。

そして2つ目のルールですが、駅を訪れるのであれば鉄道を使わなくても、徒歩でも自動車でも行こうと思えば行けます。あるいは、列車で来てタクシーで帰る、またその逆のパターンなども考えられます。しかし、私は全駅乗下車では必ず「列車で降りて、列車に乗って、乗り込んだ時点で乗下車したことにする」と考えています。逆の順である「乗る→降りる」は認めていません。ある駅に訪れて、その後急な天候の変動で列車が運休になってしまった場合、その日の内に乗れなくなったら乗下車したとはみなしていないのです。たとえ代行バスであったとしてもです。降りただけでは安心できず、いつも不安との戦いをしています。

さて、そんなこんなで江差線側からくるスーパー白鳥に乗って五稜郭に降り立ったのでした。すでに辺りは真っ暗ですが、私の乗下車は夜だろうと昼だろうと、大雪だろうと一切気にせず行われます。「降りる→乗る」という行動を機械的にしさえすればなんだっていいのです。

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北海道の玄関、函館の1つ隣の駅で、貨物列車にとってはここ五稜郭が玄関です。昼夜問わず多数の貨物列車が行き交い、たくさんのコンテナを連ねた列車が発車を待っています。そんな重要拠点で市街地にある駅ですが、周りには電灯もろくになく真っ暗。東京や大阪の感覚でいると酷い目にあいます。

ちなみに、あの星型をした要塞「五稜郭」からはかなり遠いです。実はこの数時間後に五稜郭公園~五稜郭を歩いているのですが、早く見積もっても徒歩1時間はかかるでしょう。昼間であれば、函館まで行ってそこから路面電車で向かうのが普通の方法です。五稜郭タワーは小学生の頃に一度訪問しています。


2駅目:七重浜 22:04着 22:41発(滞在時間 37分)

IMG_2756IMG_2769▲使われているのは左側の島式ホーム2線。駅舎に面した右側のホームは使われていない。

IMG_2761▲駅舎は機能していない。跨線橋上に窓口や待合室がある。自動販売機と跨線橋の明かりだけが頼り。

こんな夜にこんなところで降りてなにしてるんだって思うこともありますが、まぁ前からそんなことやっているので今更気にしたって仕方ありません。江差線は上磯辺りまで住宅地が広がっていて比較的町中なので孤独感はありません。しかし、駅そのものに用事がある人はおらず、列車が来る前に人が集まり、降りてしまえは皆家に帰るだけで、駅に人は留まりません。夜中ともなれば尚更。しかし思いの外、跨線橋上の駅舎は結構きれいでした。このとき、待合室に掲示されていた案内で翌日花火大会が開催され、函館~上磯で列車が増発されることを初めて知ったのですが、結局計画は変えずにいきました。

初日はこの2駅だけで終わり。このあとは最終列車で函館へ向かい、そこから数十分歩いてこの日の宿であるネットカフェへ向かいました。場所は五稜郭公園と五稜郭の中ほどにあります。


2015年7月19日(日曜日)

寝ることすらままならないうちに夜も明け、始発からまた全駅乗下車を始めます。昨日の夜からそうでしたが、雨が少しばかり降っていて、花火大会は延期されてもおかしくないような天候でした。

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▲夜も明けた五稜郭から始発列車に乗る。

3駅目:清川口 6:28着 6:45発(滞在時間 17分)

五稜郭~木古内は列車本数が多めのため、単線ですがほとんどの駅で交換可能となっています。そんな中ですが、両隣の駅との距離が近い東久根別とここ清川口の2駅だけは、交換不可能な棒線駅となっています。

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▲駅名標のすぐ裏手にあるのが北斗市役所。

しかし、棒線駅であってもすぐ近所に北斗市役所があるので、利用者は少なくありません。むしろ役場へのアクセスのため設置されたという雰囲気さえ漂います。

IMG_2783▲駅を挟んで市役所と反対側には文化センターもある。


4駅目:久根別 6:47着 7:10発(滞在時間 23分)

IMG_2799IMG_2796▲重要路線だけあって軌道の整備状況は悪くない。

全駅乗下車をしているときはそこそこ時間があれば駅を出て歩いてみたりしています。ここ久根別はまだそれほど都会から離れてはいませんが、店舗などが集まっているのは駅ではなくより海沿いを通る国道周辺。駅の周りは地図で見るよりずっとがらんとしていて寂しげなものです。

実際国道に出てみると、想像以上に多くの車が行き交い、別に田舎でもなんでもないじゃんと思ったりします。ただそれはここに限らず、大都市以外のどこであっても言えることなのです。実際、田舎(というか秘境)と思える場所というのは本当に山しかないところなど、どうやっても無人地帯にしかならざるを得ない場所でしかありえないのです。そうでなければ、だいたいの場所には人が住んでいます。ただ、そこに住む人が鉄道(というか公共交通)を使わないから田舎に見えるだけなのです。この旅の間もずっと、「今自動車を走らせている人が全部鉄道を使ったらどれだけの利用者数になるのだろう・・・」と考えていました。考えたところで使ってくれないのでどうしようもないのですが。

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▲駅前に乗り入れるバスは平日2本、休日1本。とりあえず走らせているだけ。


5駅目:茂辺地 7:25着 7:45発(滞在時間20分)

時刻表を見てもらえれば分かると思いますが、函館からは上磯行きが結構多く走っており、この区間は利用者が多めになっていますが、上磯から先は本数が減り、特急列車と貨物列車が中心になります。去年までの江差まで走っていた頃は、木古内から更に本数が減るという感じでした。上磯から先は、海岸線ぎりぎりまで山が迫り、ところどころ拓けたところにある集落にぽつぽつと駅がある、という感じです。今回の旅では、ダイヤの都合で先に五稜郭~上磯で乗下車してから、そのあと本数が少ない茂辺地~木古内を降りるということになりました。が、これまたダイヤの都合で茂辺地は先に訪問してしまいます。

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▲小高い丘の上にある茂辺地駅。『ここは海抜5m』。

津軽線の瀬辺地、青い森鉄道と大湊線の野辺地と、このあたりには○辺地駅が多くありますが、何か由来があるのでしょうか。

先に述べたとおり、茂辺地以南の駅では海岸線が迫っているので、駅舎中に津波の際の避難場所が書かれた紙が貼られています。

上磯~茂辺地はかなり駅間距離が長く、途中に矢不来(やふらい)信号場という交換施設が設けられています。上磯~茂辺地間は、なんと五稜郭~上磯と同じだけの距離があるのです。ここまで5駅かけてきた分の距離が1駅分なのです。不思議なものですね。


6駅目:上磯 7:55着 8:32発(滞在時間 37分)

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ここでまた函館側に戻って上磯で降ります。3線ありますが、一番海側の線路は行き止まりになっていて函館への折り返し列車専用となっています。時間があったのでコンビニへ寄り、この日に使う函館から津軽今別までの切符を買いました。第三セクター化されたらJRの切符も買えなくなるので今のうちです。

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田舎では鉄道としてはそこそこ重要な駅でも周りには何もなかったりするのですが、ここはコンビニが存在していてくれました。それも北海道にありがちなセイコーマートなんかではなく大手全国チェーンのセブンイレブン。様々です。

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▲分割作業中の車両。

次に乗る列車は函館から上磯までの区間列車で、折り返し列車用ののりばに停車しています。この列車は、函館から2両で来ていますが、上磯到着後、1両ずつに分割し、一方が上磯8:32発函館行き、もう一方は2列車後の上磯9:35分発函館行きとなるのです。ローカル線では、数両で来た列車が途中で切り離し、それぞれが別の列車になるということがよくあります。廃止直前の深名線では全3両が始発の名寄行きとして深川を出発し、幌加内、朱鞠内で1両ずつ切り離し、それぞれが上り列車として折り返していくという運用が組まれていました。


7駅目:東久根別 8:39発 9:12着(滞在時間 33分)

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▲北海道にありがちな車掌車改造の簡易待合室。

まだ午前中の早い時間だというのにもう半分以上乗下車達成してしまいました。1時間に2本以上来るような本数の多い路線だと、比較的ぱっぱと済ませてしまうことができるのです。しかしこの後は重要な予定があるのでそれに時間を割かなければなりません。

都市部ではあまり見ないですが、北海道のど田舎になればなるほどみかけるのがこの車掌車改造の待合室。昔は貨物列車にも車掌が乗っていることが当たり前で、その車両を待合室にしたものです。あまりきれいじゃなかったりするので好きではないのですが。というか人の少ないオンボロ駅舎自体があまり・・・。ここは利用者もそこそこいるので別にそんなに汚いわけではありませんでしたが。

さっき上磯でセブンイレブンにいったばかりですが、ここではローソンに行きました。理由はいろはすのハスカップ味が売ってなかったから。ローソンには置いているのです。あと北海道ではそこらじゅうにあるツルハドラッグがここ東久根別にもありました。北海道ではスーパーマーケットのような存在です。


この後、一旦函館に戻り、函館市電に乗っていました。津軽今別にとまる列車が1日2往復と限られているので、時間潰しの意味もありましたが、かなりぎりぎりの行程になってしまっていました。

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去年函館に来た際に、函館駅前~函館どっく前の短い区間だけは乗っていたので、残りの区間を乗るつもりでいました、が、湯の川まで行って折り返しの谷地頭行きに乗るつもりが、まさかの折り返し列車が谷地頭行きにならず函館どっく前行きになってしまい、時間がぎりぎりで全く余裕がなかったので、どっく前行きで折り返して函館駅前に戻ってしまい、十字街~谷地頭の残り区間は一旦諦めることにしました。

さて、この後は青函トンネルで再び本州に戻り、8月に実質廃止される津軽今別へ向かいます。長くなってしまったので続きは次回。お楽しみに。

江差線・五稜郭~木古内で全駅乗下車してきました。〈旅行前夜〉

以前も少しだけお伝えしたかと思いますが、2015年度内(2016年3月)に、北海道新幹線の新青森~新函館北斗が開業します。 これにより、当面開業する予定のないJR四国以外の5社は、新幹線区間を保有することになります。 さて、ここ十数年程度の例に漏れず、このたびの開業においても、並行在来線が経営分離されることとなります。前も説明しましたが、あまり詳しくない方にもう一度解説しましょう。 新幹線がまだ開業していない現時点でも、青森~函館間では当然鉄道による輸送が行われています。「白鳥」及び「スーパー白鳥」という特急列車が、在来線である以下4線 ・青森~中小国 (津軽線) ・中小国~木古内 (海峡線) ・木古内~五稜郭 (江差線) ・五稜郭~函館 (函館本線) にまたがって運行されています。これら4線の青森~函館間は、通称「津軽海峡線」という愛称で呼ばれています。 当然需要の大きい区間であり、だからこそ新幹線が開業されるのですが、一方で地域輸送、つまり普通列車の需要は、少なすぎるわけではないものの、あまり大きいものでもありません。新幹線を抱えるJRにとっては負担となるという考えです。 今回並行在来線として認定されているのは「江差線・木古内~五稜郭」のみです。これは、まず津軽線に関しては「JR東日本が運営していること(新幹線はJR北海道が開業させる)」、次に海峡線については「青函トンネルを含む区間は新幹線と共用であり、分離が困難であること」、そして函館本線に関しては「新函館北斗~函館を結ぶ連絡列車はJR北海道が運行する上、札幌までの特急列車も継続して乗り入れること」などによります。 そこで、JRの手続きとしては江差線の木古内~五稜郭において一旦「廃止」という形をとり、新たに「地方公共団体・北海道」を中心とした第三セクター会社「道南いさりび鉄道」が廃止と同日中に同区間を開業しなおし、運営するということが既に決定しています(書類上の廃止日は、最終運行日の翌日になる)。 さて、廃止となれば、当然乗りに行かなければなりません。路線自体は何度も何度も乗っているのですが、私の目的は「各駅で降りて乗ること」です。完全な路線廃止とは異なりあくまでも経営移管ですから、駅そのものがなくなることは実際のところはありません。わざわざ降りに行く必要なんてないというのが本当のところです。しかし、駅名標は運行が終わった夜に一晩で律儀に全部架け替えられます。たった数時間でJRだったことはなかったことにされてしまうのです。 ということで、前々から理由は抜きにして経営分離であっても全駅降りています。具体的には、2007年に全駅乗下車を始めて以降、東北新幹線(在来線は八戸~青森)と、去年には北陸新幹線(在来線は長野~直江津~金沢)の並行在来線で全駅乗下車をしてきました。 今回も、北海道新幹線が開業する前に、江差線の木古内~五稜郭で全駅乗下車してきました。次回以降、その模様をお伝えしたいと思っています。 また、それ以外に、2015年8月10日に実質的に廃止となる海峡線の津軽今別駅にも訪れています。 どうぞお楽しみに。

静岡は本当に鬼門か?青春18きっぷと静岡県

青春18きっぷで東京と名古屋・大阪の間を移動したことのあるみなさん、こんにちは。みなさんは某アンダーグラウンドな掲示板でこんなものを見たことがありませんか?

楽しい静岡の旅
新鷲新弁舞高浜天豊磐袋愛掛菊金島六藤西焼用安静東草清興由蒲新富富吉東原片沼三函熱
所津居天阪塚松竜田田井野川川谷田合枝焼津宗倍岡静薙水津比原蒲川士原田 浜津島南海
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇普通

こんなものは馬鹿にしている人間が書いているわけですが、私は決して辛いとは思いません。ではその根拠と、なぜ人々から文句がでるのかを見ていきましょう。

日本全国18きっぷで移動してきた身からすれば、こんなものなんともない

大阪出身で現在は東京に住んでいる私は、実家に帰るときに青春18きっぷを使うことも多々あります。もちろん大阪に住んでいた頃から全国に行っていたので、東海道線は既に何十往復も利用しています。新幹線を使うことだってそれこそもちろんありますが。まぁ早い話が「慣れ」と「自分の身に合っているか」の問題なのですが、それでは納得しないでしょうから、具体的にこの「静岡鬼門論」に反論していきましょう。

1.駅間距離と表定速度

ここで、私が実家に帰る際によく使う列車を見ていきましょう。JRの最寄り駅が高田馬場なので、品川からの東海道線の始発列車には乗れないのですが、実は始発に乗ったとしても後々同じ列車になってしまうので、始発の次のに乗る方がむしろ所要時間は短くなります。

普通 725M・普通 723M
品川~小田原(725M)、小田原~熱海(723M)
品川5:10発、熱海6:45着 通過駅間数 26(いわゆる「京浜東北線」の駅を含む)
所要時間 95分 距離 97.8km 表定速度 61.8km/h
停車駅同士の平均駅間距離 5.4km

普通 425M 熱海~浜松
熱海発6:49、浜松着9:19 通過駅間数 33
所要時間 150分 距離 152.5km 表定速度 61.0km/h
停車駅同士の平均駅間距離 4.6km

新快速 3459M 長浜~姫路(乗車区間 米原~大阪)
米原発12:20、大阪着13:43 通過駅間数 34
所要時間 83分 距離 110.5km 表定速度 79.9km/h
停車駅同士の平均駅間距離 7.9km

ちなみに大阪から東京へ行くときは、早朝に新快速が走っていないため京都から米原まで各駅停車の快速に乗ることになります(早朝は高槻までではなく京都まで快速運転)から所要時間は余計にかかります。

初心者向けに「表定速度(ひょうていそくど)」について解説しますと、

ある駅からある駅までの距離 ÷ ある駅からある駅までの所要時間

 = 表定速度

です。「平均速度ってことか」と思う人もいるかもしれませんが、実は平均速度とは違います。鉄道の場合、平均速度は「停車時間を考慮しない所要時間」で割ったもののことを言います。ので、平均速度ではなく表定速度の方がよく使われます(停車時間を考慮しない分平均速度の方が少し速くなる)。

朝方には東京口も快速が走っていないので、もし快速に乗れれば少し所要時間は短くなるでしょうが、昼間でも接続によっては普通列車に乗る場合もかなり多いので、あまり変わらないと見てもよいでしょう。

ご覧頂いているように、新快速はかなり速く、駅間距離も長めであることが分かると思います。しかしその一方で、熱海~浜松の普通列車は品川~熱海の列車とほとんど変わらないことも分かると思います。もしかするとこれには驚かれる方も多いかもしれません。静岡の東海道線は決して遅いというわけではないのです。

2.車両、ダイヤ、路線をとりまく環境

静岡地区でお世話になることになる車両は、211系、313系のどちらかです。

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▲左(上)が211系、右(下)が313系。

どちらも1編成3両で組成されていて、2編成6両で運行される列車もあります。座席はロングシートですが、東日本で運行されているE231系、E233系と比べても申し分ない、むしろそれら以上の座席です。トイレは313系のみについていて、211系にはないのですが、両形式が併結されている列車もあります。

熱海~浜松・豊橋間は、最も運転間隔が長いところでも20分に1本列車が来ます。静岡中心部の興津~島田なら10分に1本は来てくれます。私はやりませんが、途中の駅で降りて何かしてからもう一度乗りなおす、なんて気ままなこともやりやすいダイヤです。

3.私見的なこと

東海道線を何十往復もして一体何をしているのかと聞いてくる人もいるでしょうが、実は毎回全区間ずっと寝てます。というのも、始発から移動するにあたって、前日そもそも寝ていないことが多いのです。乗りなれている区間なので乗り換え駅も時間も毎回同じ、ほかにする仕事もないので寝てるだけで何もしていません。ほとんどの列車が終着駅まで乗りっぱなしなので寝過ごす心配もなく心置きなく寝てます。「座れるのか?」と疑問の人もいるでしょうが、少なくとも私は座れます。乗り換えのときに別にもたもたしているわけでもないので、普通にやっていれば普通に座れます(但し大阪に行くときの大垣~米原だけはわざと立つことも多い)。寝てれば本当にびっくりするぐらいあっという間に着きます。9時間がもったいないくらいです。

 

なぜ文句が多いのか

1.そもそも静岡県域自体が広い

静岡市葵区が極端に縦に長いことは有名ですが、静岡県そのものが東西方向にも長いです。とりわけ東海道本線の中でも、東京、京都、大阪の各都府はかするほどしか通らないので、体感的にあっという間に過ぎてしまうように感じるのです。そんな人が根室本線に乗ったらきっと発狂してしまうことでしょう。いつまでたっても北海道ですから。

2.すぐ横をのぞみがばんばん走っている

普通列車だけを使うと9~10時間かかりますが、のぞみなら2時間25分です。しかも多い時間帯では1時間に10本も走っています。普通列車より多いです。ところが、こだまで一駅間だけ使ったとしても1500円ぐらいかかります。青春18きっぷ1回分が2300円とちょっとですから、相対的に新幹線が割高に感じます。別に新幹線の価格設定が高すぎるとは思いませんが……。青春18きっぷが安すぎるだけです。

3.前後の区間と雰囲気が異なる

特に西側、名古屋・大阪方面に関して言えることですが、停車駅の少ない快速系列車が多く走っています。それ自体は最初に上げたように駅間距離も表定速度もそこまでめちゃくちゃ変わらないのですが、座席が違ったりします。もともと現在の静岡地区は近・中距離利用が主たる利用者ですから、長距離乗車は考慮されていません。いわば通勤通学・日常の生活利用ですから、青春18きっぷの使用期間でなくてももともと混んでいます。

4.ほかにも辛いと思われる区間は多いが、ここは利用者が多い

東北本線や山陽本線も、全部乗っていればそれはもちろんそれ相応の時間がかかります。しかし、そういう人はそもそも東北本線や山陽本線には乗らないのです。東海道本線しか使ったことがないのです。それは、「東京~名古屋・大阪」の利用者が多いからにほかなりません。ほかの路線はそもそも辛いとか言う感想自体が沸いてこず、東海道本線だけが取りざたされているのです。

 

さて、ここまで挙げてきましたが、私が日頃思っている最も辛い区間を紹介しましょう。それは

中央本線 中津川~塩尻

です。愛知・岐阜方面から長野へ向かう経路です。まず、2時間に1本しか来ないので、そもそも計画を組む時点から困難を極めます。同じ区間を特急列車が毎時1本走っているので、どんどん抜かれていきます。単線ですから対向列車の交換待ちもあります。2両の列車がほとんどなので、狭いボックス席にいろいろな人が詰め込まれます(今は転換クロスシートの車両に変わったが)。

東海道本線ほど何十往復も使ったわけではないですが、この区間は何度乗ってもこわばります。それでも、寝てしまうのですが……。

青春18きっぷでJR以外に乗れる区間がある!

青春18きっぷについて」のページでしつこく書きましたが、青春18きっぷはもちろん、ほかのJR線の切符でJR線以外の路線(私鉄線など)には乗ることができません。JRで売っている切符なのですから、JR以外で乗れないのは当然です。

ところが、2010-2011年冬シーズン以降、18きっぷの注意事項にある文言が追加されました。実物で確認してみましょう。

 

18ticket220701▲2010年夏シーズン発売の切符

18ticket221201▲2010-2011年冬シーズン発売の切符

5番目の項目に、「ただし青い森鉄道線の青森~八戸間については、通過利用する場合に限り普通列車の普通車自由席に乗車できます。当該区間の青い森鉄道線で下車した場合、別に運賃が必要となります。」という二文が追加されています。

ちなみに、これは「常備券」と呼ばれるタイプの18きっぷで限られた一部の駅でしか販売されていない様式なのですが、普通に駅で買える(いわゆるマルス券の18きっぷ)でも同様の注意事項が書かれています。

これは、2010年12月の東北新幹線八戸~新青森開業に伴う東北本線八戸~青森の経営分離を踏まえたルール改定なのですが、2015年3月の北陸新幹線長野~金沢開業に伴って、同様のルールが「IRいしかわ鉄道線(金沢~津幡)」および「あいの風とやま鉄道線(高岡~富山)」(どちらも元北陸本線)に設定されています。

つまり、先に挙げた青い森鉄道線青森~八戸も含めて、2015年春シーズンの時点で3区間のJR以外の路線に乗車することができるのです。

これは一体なぜなのでしょうか? 路線図を用意しましたので、そちらで対象区間とその周辺のようすを確認してみましょう。

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左が金沢・富山地区で、右が青森地区の路線図です。

先に申しておきますが、基本ルールの青春18きっぷで乗車できるのは、黒線で描かれたJR在来線のみです。

どちらの地区も、新幹線が通っていることが目立っていると分かると思います。新幹線そのものはこのルールに直接影響していないのですが、間接的に触れることになります。

「第三セクター鉄道線」というのが何か分かりますか?全部がそうというわけではないのですが、基本的に「国鉄末期頃から廃止対象とされた赤字路線が、鉄道そのものは残したまま、経営が都道府県・自治体が運営する第三セクター会社に移管され、営業している路線」のほとんどが第三セクターだといって構いません(要は都道府県・自治体が運営する企業のことです)。

新幹線と並行する在来線の場合、わざわざ新幹線を開業するくらいですから、決して廃線にするほど大赤字だったというわけではありません。ですが、新幹線ができて、今まで在来線を走っていた特急列車が全て新幹線に移ると、残されるのは地域輸送を担う普通列車のみになり、過疎化・高齢化の進む地方では経営はより厳しくなります。そのため、1997年以降開業の整備新幹線は、多くの区間で並行在来線の経営分離が行われました。具体的には、長野新幹線と同時に廃止・三セク会社として開業した元信越本線、現しなの鉄道線の軽井沢~篠ノ井が最初の例です(高崎~横川および篠ノ井~長野はJRとして存続、横川~軽井沢は路線自体が廃止)。

上にあげた金沢・富山地区と、青森地区では、それぞれ金沢~富山(~長野)と(盛岡~)八戸~青森が該当します。

しかし、今までの経営分離区間は、JRでなくなったからといって18きっぷが使える特例のようなルールは設定されず、乗れなくなるだけで終わっていました。ではなぜ、この3区間だけは特例が設定されたのでしょう?

もう一度路線図を確認してみてください。金沢・富山地区では氷見線城端線、青森地区では大湊線に注目してみてください。氷見線と城端線は新高岡駅でJRの北陸新幹線と接続していますが、ほかのJR在来線とは接続していません。大湊線の場合、新幹線とすら接続しておらず、JRとしては完全に離れ小島の路線となってしまっています。また、図からははみ出ていますが、同様に七尾線八戸線もほかのJR在来線と接続していない、離れ小島となってしまっています(七尾線に関しては、大湊線と同様新幹線とも接続していない)。

これらの路線は、新幹線が開業する前までは北陸本線や東北本線、つまりほかのJR在来線と接続しており、青春18きっぷでも自由に行き来することができました。それが、新幹線開業とひきかえに青春18きっぷでの通行路が閉ざされてしまったのです。

しかし、離れ小島となってしまってもJR線である以上、青春18きっぷで乗ることは出来ますし、不便になることは鉄道会社ももちろん理解しています。それどころかこれら離れ小島の路線でも青春18きっぷは売っています。そのためこの特例ができたのです。

切符のルールを見返してみましょう。「通過利用する場合に限り」と書かれています。たとえば大湊線の場合、青森から先の奥羽本線・津軽線は今まで通り全国のJRネットワークに繋がっていますから、青森~野辺地を乗れれば、東京や北海道に行くこともできます。このように、「全国ネットワークと離れ小島を中継する」という役割が、この3つの特例区間にはあるのです。

そのため、特例区間の途中駅では下車することが出来ません。ただし、途中駅であっても大湊線の駅でもあるとみなされる野辺地に関してだけは、降りることが出来ます。

そりゃあ、降りられれば便利なことは間違いないですが、そもそもJRでなくなった以上普通に考えたら乗れなくなるのは当たり前のことなので、特例があるだけでもありがたいでしょう。降りたいなら、素直に諦めてほかの切符を買うか、この区間の運賃を別途払いましょう。

また、落とし穴が一つあって、金沢・富山地区のうち津幡~高岡には乗れないということが挙げられます。特例区間は、あくまでも金沢~津幡と高岡~富山に別々に設定されているのです。これは先ほど説明した「全国ネットワークと中継する」ということが理由です。

七尾線が金沢まで繋がっていたら、そこから先の北陸本線で福井や関西方面に行くことができます。では。氷見線と城端線はどうでしょうか。実は、富山まで繋がっていれば高山本線で岐阜・名古屋方面に行けるのです。七尾線から氷見線に青春18きっぷだけで乗りに行こうと思ったら、

津幡(IRいしかわ鉄道線)金沢(北陸本線)米原(東海道本線)岐阜(高山本線)富山(あいの風とやま鉄道線)高岡

という最短距離の何十倍もの大回りをしなければなりません。あくまで全国ネットワークのどこかと繋がっていればいいだけなので、このようなことになっているのです。

 

以上のように特例について説明してきましたが、青春18きっぷのルールが悪いというよりも、そもそもJR線が経営分離されることが悪いのです。確かに儲からなくなる路線ではありますが、普通運賃の値上げなどもされ、元より市民生活に悪影響を与えることは明らかです(それでも地域密着になる分、普通列車の増発や新駅開業などで利用客および収入の増加のためにいろいろな策を講じている)。

また、今後北海道新幹線開業に伴う江差線(木古内~五稜郭・函館)や更に先の札幌延伸開業、ほかにも北陸新幹線敦賀延伸に伴う北陸本線(敦賀~金沢)の更なる経営分離が決定しています。そうすれば、離れ小島になる路線はもっと増えてしまいます。それどころか、中継する第三セクター鉄道線の距離も、馬鹿にならないほど長くなってきます(敦賀~福井~金沢~津幡など)。

そうなると、今は特例で済まされている切符のルールも、もっと大きな改訂をせざるを得なくなるかもしれません。

近いうちに、来年2016年の北海道新幹線新青森~新函館北斗の開業によって、本州と北海道を結ぶ津軽海峡線から在来線列車が消滅してしまいます。と同時に、このままでは青春18きっぷでは乗れなくなってしまいます(この区間は元々特急しか走っていないが、特例で青春18きっぷでも乗れるところがある)。

今後、JR6社がこのような区間に対してどのような措置をとっていくのか、あるいはとらないのか。鉄道ファンのみならず、旅行者や地元の方からも大きな注目を集めているのです。

もしかすると、青春18きっぷで思う存分旅することは、今のうちしかできないのかもしれません・・・・・・。

 

”上野東京ライン”は新線開業ではない

 

さて、投稿第1回ということで、今最も熱い注目を集めている路線の一つ、「上野東京ライン」について解説していきたいと思います。

2015年3月14日の全国JRダイヤ改正で、大きな注目を浴びている路線があります。そのひとつが、「北陸新幹線」です。従来「長野新幹線」と呼ばれていた高崎~長野間の路線を金沢に延伸する形で開業しました。同時に、並行在来線である信越本線(長野~直江津)と北陸本線(金沢~直江津)がJRから経営分離され第三セクターへ移管されました。

この開業に関わる一連の路線再編で、乗車率は少し低下しました。新規開業区間はもちろん未乗区間の拡大に寄与しましたが、第三セクターへの移管も、JR線としては廃止になった関係で、相対的に今までの乗車率が下がることとなったのです。そう遠くないうちに私も乗りにいこうと考えていますが、来年に迫る北海道新幹線開業に関わる江差線の経営分離区間の全駅乗下車もあることから、北陸新幹線の具体的な乗車予定はもうしばらく先になりそうです。

さて、北陸新幹線と匹敵するぐらい、首都圏の人々の話題を集めているのが「上野東京ライン」です。計画時には「東北縦貫線」と呼ばれ、もっと早く開業する予定だったのですが、東北地方太平洋沖地震などの影響もあり、2014年度(2015年3月)の開業となりました。

しかし、北陸新幹線とは違って、上野東京ラインは全線乗車にはなんら影響を与えていないのです

山手線と京浜東北線が並行して走っていますが、このどちらかに乗っていれば、乗車率は変わらないのです。というのも、(運行系統ベースや列車ベースではなく)路線ベースで乗車記録をつける基本的な考え方でいくと、山手線と京浜東北線、それに上野東京ラインは同一の路線であるからです。

どういうことかを説明しましょう。

日本の鉄道には、具体的な「路線名」があり、それぞれの路線がどの駅からどの駅までか、明確に決められています。あたりまえかと思うかもしれませんが、実は路線名が決められているのは日本以外に中国、韓国、台湾ぐらいで、その他諸外国では明確には決まっていないことが多いのです(地下鉄や路面電車はどこの国でも名前が決まっていることが多い)。

では、上野東京ラインは何線になるのでしょうか。大前提として、「同じ区間を走る路線には名前は一つしかない」ということがあります。つまり、2つ以上の名前が重複することはないということです。但し例外もあります。

結論から言うと、東京~上野間は、山手線、京浜東北線を含めて、「東北本線」なのです。福島や仙台を経て盛岡まで行く、あの東北本線と同じ路線なのです。また、正式名称でいえば、「山手線」と呼ばれている区間は品川~新宿~田端のみ、「京浜東北線」という路線はそもそもないのです。

東京~神田では、中央本線も並行していますが、これについては重複と見るか見ないか、見解が分かれています(乗りつぶしオンラインでは中央本線ではなく東北本線として扱われています)。また、東北新幹線については、全線乗車の上では別路線として扱うことが一般的です。

同一区間の路線名は一つしかない」ということは、とても重要なので覚えておいてください。

ではなぜ「山手線」や「京浜東北線」そして「上野東京ライン」という名前が使われているかというと、「その方が分かりやすいから」にほかなりません。東京から北へ向かう列車が全て「東北本線」、南へ向かう列車が全て「東海道本線」と案内されていたら、どれに乗ればいいか分からなくなりますよね?正式名称であることが利用者にとって必ずしも分かりやすいとは限らないのです。このように、正式名称はあくまでも業務用としてのみ使用し、別につけられた「愛称」を使う路線は全国に数多くあります。

とはいえ、上野東京ラインの列車に一度でも乗る価値はあると思います。重層高架といって、神田付近で高架線の更に上に作られた高架線から見る景色はまた違ったものであると思います。また、直接は開業と関わりがないのですが、直通先である東海道本線の品川駅も構内配線が大きく変わっています。できれば、品川始発の常磐線直通列車で上野まで乗ってみることをおすすめします。品川付近の車両基地内をのろのろと進んでいく列車は、今しか体験できません(この付近は今後配線が変わります)。

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▲品川駅の折り返し列車用ホームに入線する常磐線列車。

ところで、当ウェブサイトでは「正式名称」ベースでの全線乗車を基本としていますが、より細かく、運行系統ごとに(上の例で言うと「山手線」と「京浜東北線」と「東海道線・東北線」は別のものとして)全線乗車をされている方もいらっしゃいます。どのように乗るかは、個人の自由です。他人に聞かれたとき「私はこういう風に考えています」と、自分も相手も納得できる理由が作れれば、どんな乗り方でもありだと、私は考えています。