江差線・五稜郭~木古内で全駅乗下車してきました。〈その1〉

さて、前回お話したとおり、2015年7月18日から20日にかけて3日間、江差線で全駅乗下車をしてきました。まずは初日、北海道に入るまでの経緯をお話します。

どこかへ乗りに行く用事ができると、私が真っ先に気にするのは切符(旅行費用)の問題です。日程も重要ですが、どちらかというと「日程は切符に合わせる」ことが私の場合は多いと思います。

今回ももちろん切符の問題はありましたが、「江差線に乗りに行く」という時点でだいたい切符のことは決めていました。

 

201507_tickets▲今回使用した切符すべて(JRのみ)

 

画像では左上に表示されている、「三連休乗車券」が今回の旅行の核となる切符です。木古内~五稜郭はそれほど長い区間でもなく本数もある程度ありますから、往復含めても3日あれば余裕がありますから、まず期間的にちょうど良い切符です。特急券を買えば新幹線も乗れるので、あまり旅行に日数を割けない私としてはそこもかなり重要です(青春18きっぷを使うと往復だけで数日とられる)。

「三連休乗車券」というのは、JR東日本が設定した一部の限られた三連休期間(ゴールデンウィークなどは除く)において、JR東日本が全線乗り放題、さらに特急券を組み合わせれば新幹線・特急も乗れるという切符です。なのですが、実は函館にも足を伸ばすことができて、JR北海道の中小国~函館にも乗れるのです。まさしく今回の旅行区間にぴったりなのです。

そしてなによりも、ある差し迫った事情によるものが大きかったといえます。それは「津軽今別駅の実質的廃止が8月10日」だということです。8月9日を最後に、それ以降は全列車が通過(1本もとまらない)ということが以前からJR北海道より発表されています。ということは、遅くとも8月9日までに行かなければならないわけです。もともと津軽海峡線は青春18きっぷでは非常に乗りにくいので、新幹線・特急を自由に乗れる三連休乗車券が大変ありがたいのです。ちなみに、青春18きっぷの使用開始は7月20日からでした。

江差線の廃止転換は3月なので余裕がありますから、最悪どうしても時間が割けなければ、津軽今別だけ行って江差線はまた今度、ということもできるのですが、今回はまとめて行くことができたのでそうしています。ほかにも、東北地方のとある新規未乗路線も乗りに行っています。

7/18(土)
1.高田馬場5:24→5:28池袋
2.池袋5:30→6:06大宮

18きっぷで出かけるときはだいたい始発で動き始めるのですが、今回は新幹線に乗りまくりの予定。新幹線は6時前に動き出すことはありませんから、少し遅めに出発しています。しかし山手線はこの時間から既に混雑率120%以上で全く笑えませんでした。夏場で5時とはいえかなり明るくしかも三連休の初日ですから混んでいるのは当たり前なのですが・・・。一方埼京線は赤羽過ぎたころからは割りとすいていました。赤羽からは新幹線と並走して走りますが、6時前なので抜かれることはありません。

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3.大宮6:38→7:44福島(つばさ121号)

目的地は函館だったのですが、所用がありそれを途中の経由地で済ませるため、一旦福島に立ち寄りました。自由席で買っていたので適当にすいてるのを狙って・・・と思っていましたが、どいつもこいつも混みまくり。早朝のくせに、ホームの反対側に来る上越・北陸新幹線と合わせて4分に1本も来る大人気路線です。

福島で降りるので、混んでて両数も少ない山形新幹線は避けるのが普通なのですが、直前のやまびこの時点で既にかなり混んでいたので、大宮駅ホームの停止位置がかなり異なるつばさの列に並びなおして結局こっちに乗りました。まぁ座れたから別に良かったのですが。

4.福島11:14→11:34仙台(やまびこ45号)
5.仙台11:54→14:08秋田(こまち13号)

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上の方でも出した切符ですが、この4枚を用事を済ませた後現地で買いました。1枚目ですが、2列車分の指定席が1枚の切符として発券されています。同一の新幹線路線に関しては、同じ方向に乗り継ぐ場合、改札を出ない限りは特急券を通算できるというきまりがあります。この場合もそうですが、福島から秋田や新青森へ直通する列車は1本も走っていないので、必ずどこかで乗り換え(この場合は仙台か盛岡)が必要になります。ということは特急券を余計に買わなければならず、場合によっては距離が長い方が高くなり、短い方が安くなるという矛盾も生じています。それを防ぐために通算できる仕組みがあるのです。料金は全区間通しで買ったときと同額ですが、のぞみ・みずほ・はやぶさ・こまちに乗った場合は、乗車区間に応じて別途料金が上乗せされます。ちなみに乗換駅で途中下車する場合は通算できないのでご注意を。

3枚目と4枚目ですが、実は3枚目の切符は使用していません。使う気がないのにわざわざ買いました。実は奥羽本線の優等列車と津軽海峡線の優等列車の組み合わせでは、乗り継ぎ割引を適用させることができます。その場合、津軽海峡線側の列車が料金半額になります。画像を見ていただければ分かりますが、適用されて860円になっていますが適用前の料金は1730円(10円未満は切り捨てされる)です。そして弘前→青森の特急料金が自由席で510円ですから、これを利用しない手はありません。新青森接続の東北新幹線でも同じことができますが、七戸十和田→新青森より弘前→青森の方が安かったのでそちらにしました。乗り継ぎ割引は、前後の列車の席種別に関わらず、自由に適用させることができます(普通車自由席と普通車指定席、普通車自由席とグリーン車指定席、など)。

福島駅新幹線ホームでは、新幹線の320km/hでの通過を間近で体験することができます。が、相当うるさい上に振動も酷く、かなり怖いです。その点、自分が乗る列車がのろのろとホームに入線するのを見ると安心できます。さて、次の列車乗車前に上りの山形新幹線列車の分割と併結を両方眺めていました。

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新幹線ホームに在来線で使う色灯式信号機があったので、信号ヲタとして思わず撮ってしまいました。新幹線は車上信号方式なので信号機なんて建ってるわけがないのですが、山形新幹線は在来線ですから乗り入れのための信号機がこんな新幹線ホームに堂々と立っているわけですね。奥羽本線方に出発信号が建っているのはまぁ当然なのですが、東京向きの信号がホーム中ほどにあったのは意外でした。一応三灯式になっていますが、この信号機が赤以外の現示を出すことは果たしてあるのでしょうか・・・?

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仙台駅のホームでは発車メロディを録音していました。ファンには有名ですが、仙台駅の発車メロディは豪華で長いことで有名です。

仙台からこまちに乗ったわけですが、E6系に乗るのはこのときが初めてでした。新しい車両には座席にコンセントがあるので非常にありがたいです。ちなみに秋田新幹線区間の田沢湖線には全線乗車してるので前にも乗ってるのですが、そのときは夜中だったので昼に乗ってみたかったということもあってわざわざ秋田に寄っています。

実は乗る列車の直前に、まさかの臨時列車が走っていました。時刻表で列車を調べるとき、乗れなくて困ることがないように臨時列車はなるべく見ないようにしてるので気付かなくて当然なのですが、いざ当日来てみてしかも自分が本当は乗りたかった時間に走っているとなると後悔せずにはいられないのです。しかも結局乗った側の列車がまさかの東京都の小学校の団体と居合わせたりしたものですからますます、リゾートしらかみとの接続も少し遅れて滅茶苦茶ぎりぎりだったので臨時列車を選ばないなんてありえないと思えるほどでした。

6.秋田14:17→18:18川部(リゾートしらかみ5号)
7.川部18:24→19:12青森

IMG_2735リゾートしらかみは実は以前にも秋田行きの方には乗ったことがありました。ちょうどくまげら編成が登場して間もない頃で、まだ新車(というか化学物質)の香りが漂っていた頃でした。今回、時間的にちょうどキハ40改造のオンボロ車ではなく新型のハイブリッド気動車(形式なんて覚えてないがHB-300とかなんとかだったっけ)に乗れることが分かったので、久々にしらかみに乗ることにしたのでした。電気式で、エンジンの音も静か、まさに快適そのものだったのですが、いかんせん五能線区間は相当な過疎路線ですから線路の整備状態が劣悪で、とにかく揺れまくり。まぁそれはそれで乗ってて楽しいのですが、新型気動車にはどうしても似つかわしくないとしか思えなかったのです。

まぁそんなことはおいといて、五能線は素晴らしい路線であることには変わりないです。一方で、これから江差線で全線乗下車しにいくにあたり、「五能線で全駅乗下車やったらどれだけ途方もない時間がかかるんだろう・・・」とか考えて寝たり起きたりを繰り返していました。

終点まで行かずに奥羽本線に乗り入れる駅である川部で降りて普通列車に乗り換えました。しらかみの車内放送でも新青森・青森へお急ぎの方はこちらを、と案内されていましたこんなこんなのんびりゆったり列車に乗っといてお急ぎもくそもあるかよ、とかいうつっこみもほどほどに、理由があったので普通列車に乗り換えたのですが、実はこの普通列車、秋田をしらかみの1時間後に発車した列車なのです。どれだけ五能線区間がとろいかが実感できます。

すっかり辺りも暗くなってしまった青森に着いたのは19時12分。乗り換え時間を利用して風呂に行きました。IMG_3298

青森駅から歩いても10分もかからない好立地で、私も北海道&東日本パスを使っていた頃から数度利用したことがある定番の風呂屋です。ですが次の列車まであまり時間がなく、しかも北海道まで行ける最終列車です。逃すわけにはいきません。だからリゾートしらかみを最後まで乗らず、10分でも早く青森に着ける普通列車に乗ったのでした。実際のんびりしてたのでそこそこぎりぎりでした。まぁ慌しいのは私の旅ではよくあるいつものことです。

8.青森20:00→21:49五稜郭(スーパー白鳥27号) IMG_2748

さぁいよいよ渡道です。やっぱり快適な特急列車で長時間乗車するのは楽しいものですね。しかし実は1年と少し前にもこの区間はさんざん乗っていたのでまぁ気にせずだいたい寝てました。とはいえ、終着駅まで乗らず途中駅で降りる列車はいつも寝過ごしへの不安との戦いです。函館まで乗らずに五稜郭で降りたのにはもちろん意味があります。そうです、この列車を降りた瞬間から五稜郭~木古内の全駅乗下車ははじまるのです。第一駅目は五稜郭。特急列車からのスタートです。せっかく五稜郭にとまる特急列車ですし、江差線はまだ最終列車ではありません。私の乗車・乗下車の旅は夜だろうと関係なくはじまるのです。

 

というのが北海道に至るまでのお話。次回、いよいよ全駅乗下車が始まります。お楽しみに。

 

静岡は本当に鬼門か?青春18きっぷと静岡県

青春18きっぷで東京と名古屋・大阪の間を移動したことのあるみなさん、こんにちは。みなさんは某アンダーグラウンドな掲示板でこんなものを見たことがありませんか?

楽しい静岡の旅
新鷲新弁舞高浜天豊磐袋愛掛菊金島六藤西焼用安静東草清興由蒲新富富吉東原片沼三函熱
所津居天阪塚松竜田田井野川川谷田合枝焼津宗倍岡静薙水津比原蒲川士原田 浜津島南海
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇普通

こんなものは馬鹿にしている人間が書いているわけですが、私は決して辛いとは思いません。ではその根拠と、なぜ人々から文句がでるのかを見ていきましょう。

日本全国18きっぷで移動してきた身からすれば、こんなものなんともない

大阪出身で現在は東京に住んでいる私は、実家に帰るときに青春18きっぷを使うことも多々あります。もちろん大阪に住んでいた頃から全国に行っていたので、東海道線は既に何十往復も利用しています。新幹線を使うことだってそれこそもちろんありますが。まぁ早い話が「慣れ」と「自分の身に合っているか」の問題なのですが、それでは納得しないでしょうから、具体的にこの「静岡鬼門論」に反論していきましょう。

1.駅間距離と表定速度

ここで、私が実家に帰る際によく使う列車を見ていきましょう。JRの最寄り駅が高田馬場なので、品川からの東海道線の始発列車には乗れないのですが、実は始発に乗ったとしても後々同じ列車になってしまうので、始発の次のに乗る方がむしろ所要時間は短くなります。

普通 725M・普通 723M
品川~小田原(725M)、小田原~熱海(723M)
品川5:10発、熱海6:45着 通過駅間数 26(いわゆる「京浜東北線」の駅を含む)
所要時間 95分 距離 97.8km 表定速度 61.8km/h
停車駅同士の平均駅間距離 5.4km

普通 425M 熱海~浜松
熱海発6:49、浜松着9:19 通過駅間数 33
所要時間 150分 距離 152.5km 表定速度 61.0km/h
停車駅同士の平均駅間距離 4.6km

新快速 3459M 長浜~姫路(乗車区間 米原~大阪)
米原発12:20、大阪着13:43 通過駅間数 34
所要時間 83分 距離 110.5km 表定速度 79.9km/h
停車駅同士の平均駅間距離 7.9km

ちなみに大阪から東京へ行くときは、早朝に新快速が走っていないため京都から米原まで各駅停車の快速に乗ることになります(早朝は高槻までではなく京都まで快速運転)から所要時間は余計にかかります。

初心者向けに「表定速度(ひょうていそくど)」について解説しますと、

ある駅からある駅までの距離 ÷ ある駅からある駅までの所要時間

 = 表定速度

です。「平均速度ってことか」と思う人もいるかもしれませんが、実は平均速度とは違います。鉄道の場合、平均速度は「停車時間を考慮しない所要時間」で割ったもののことを言います。ので、平均速度ではなく表定速度の方がよく使われます(停車時間を考慮しない分平均速度の方が少し速くなる)。

朝方には東京口も快速が走っていないので、もし快速に乗れれば少し所要時間は短くなるでしょうが、昼間でも接続によっては普通列車に乗る場合もかなり多いので、あまり変わらないと見てもよいでしょう。

ご覧頂いているように、新快速はかなり速く、駅間距離も長めであることが分かると思います。しかしその一方で、熱海~浜松の普通列車は品川~熱海の列車とほとんど変わらないことも分かると思います。もしかするとこれには驚かれる方も多いかもしれません。静岡の東海道線は決して遅いというわけではないのです。

2.車両、ダイヤ、路線をとりまく環境

静岡地区でお世話になることになる車両は、211系、313系のどちらかです。

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▲左(上)が211系、右(下)が313系。

どちらも1編成3両で組成されていて、2編成6両で運行される列車もあります。座席はロングシートですが、東日本で運行されているE231系、E233系と比べても申し分ない、むしろそれら以上の座席です。トイレは313系のみについていて、211系にはないのですが、両形式が併結されている列車もあります。

熱海~浜松・豊橋間は、最も運転間隔が長いところでも20分に1本列車が来ます。静岡中心部の興津~島田なら10分に1本は来てくれます。私はやりませんが、途中の駅で降りて何かしてからもう一度乗りなおす、なんて気ままなこともやりやすいダイヤです。

3.私見的なこと

東海道線を何十往復もして一体何をしているのかと聞いてくる人もいるでしょうが、実は毎回全区間ずっと寝てます。というのも、始発から移動するにあたって、前日そもそも寝ていないことが多いのです。乗りなれている区間なので乗り換え駅も時間も毎回同じ、ほかにする仕事もないので寝てるだけで何もしていません。ほとんどの列車が終着駅まで乗りっぱなしなので寝過ごす心配もなく心置きなく寝てます。「座れるのか?」と疑問の人もいるでしょうが、少なくとも私は座れます。乗り換えのときに別にもたもたしているわけでもないので、普通にやっていれば普通に座れます(但し大阪に行くときの大垣~米原だけはわざと立つことも多い)。寝てれば本当にびっくりするぐらいあっという間に着きます。9時間がもったいないくらいです。

 

なぜ文句が多いのか

1.そもそも静岡県域自体が広い

静岡市葵区が極端に縦に長いことは有名ですが、静岡県そのものが東西方向にも長いです。とりわけ東海道本線の中でも、東京、京都、大阪の各都府はかするほどしか通らないので、体感的にあっという間に過ぎてしまうように感じるのです。そんな人が根室本線に乗ったらきっと発狂してしまうことでしょう。いつまでたっても北海道ですから。

2.すぐ横をのぞみがばんばん走っている

普通列車だけを使うと9~10時間かかりますが、のぞみなら2時間25分です。しかも多い時間帯では1時間に10本も走っています。普通列車より多いです。ところが、こだまで一駅間だけ使ったとしても1500円ぐらいかかります。青春18きっぷ1回分が2300円とちょっとですから、相対的に新幹線が割高に感じます。別に新幹線の価格設定が高すぎるとは思いませんが……。青春18きっぷが安すぎるだけです。

3.前後の区間と雰囲気が異なる

特に西側、名古屋・大阪方面に関して言えることですが、停車駅の少ない快速系列車が多く走っています。それ自体は最初に上げたように駅間距離も表定速度もそこまでめちゃくちゃ変わらないのですが、座席が違ったりします。もともと現在の静岡地区は近・中距離利用が主たる利用者ですから、長距離乗車は考慮されていません。いわば通勤通学・日常の生活利用ですから、青春18きっぷの使用期間でなくてももともと混んでいます。

4.ほかにも辛いと思われる区間は多いが、ここは利用者が多い

東北本線や山陽本線も、全部乗っていればそれはもちろんそれ相応の時間がかかります。しかし、そういう人はそもそも東北本線や山陽本線には乗らないのです。東海道本線しか使ったことがないのです。それは、「東京~名古屋・大阪」の利用者が多いからにほかなりません。ほかの路線はそもそも辛いとか言う感想自体が沸いてこず、東海道本線だけが取りざたされているのです。

 

さて、ここまで挙げてきましたが、私が日頃思っている最も辛い区間を紹介しましょう。それは

中央本線 中津川~塩尻

です。愛知・岐阜方面から長野へ向かう経路です。まず、2時間に1本しか来ないので、そもそも計画を組む時点から困難を極めます。同じ区間を特急列車が毎時1本走っているので、どんどん抜かれていきます。単線ですから対向列車の交換待ちもあります。2両の列車がほとんどなので、狭いボックス席にいろいろな人が詰め込まれます(今は転換クロスシートの車両に変わったが)。

東海道本線ほど何十往復も使ったわけではないですが、この区間は何度乗ってもこわばります。それでも、寝てしまうのですが……。

青春18きっぷは67万枚も売れている

このサイトでもたびたび取り上げている、「青春18きっぷ」。私が使い始めたのは2006年からですが、東京に来るまでは毎シーズン必ず、それ以降も最低でも1年に1回は購入しています。

基本的なルールはもちろん、値段すら消費税絡み以外では当初からほとんど変わっていません。また、当初から年齢等の制限はなく、誰でも使える切符としてすっかり定着しています。私も鉄道好きとしてこの切符を愛用していますが、一般人もたびたびこの切符に関する話題を出してくるので、その認知度の高さ、浸透具合に驚くばかりであります。

その人気の高さを実証するように、2013年度の販売枚数が「67万枚」と報道機関から発表されています。6.7万枚ではありません。5回分使えるので、335万回分も売られたということです。70万枚を超えて販売された年もあったようです。

ちなみに、参考程度ですが、Suicaが発売開始から10年で4500万枚、JR東日本がゴールデンウィーク12日間で売る近距離切符の枚数が7000万枚だそうです。多いのか少ないのか分かりませんね。

実際には買ったけど一度も使わないまま期限が過ぎてしまったもったいない切符や、5回分使い切らずに終わってしまったもの、あと金券屋に買われたものの売れずに残ったものもあるでしょうから、全部が全部利用されたというわけではないでしょう。しかし、それを鑑みてもかなりの売れ行きであると思われます。

1人で何枚も買えますし、この切符の特性上1枚を2人以上で使うことが出来るので、正確なこととは言えないですが、平均して1人が年に1枚買うとすると、ざっと67万人、日本の人口を1億2千万人とすると、180人に1人が使っているということになります。

日本在住でない外国人にはほかにもっと利便性の高い切符があるのでこの切符を買うことはきっとあまりないでしょう。超高齢者や小学生以下の利用も少ないですし、そもそも鉄道にあまり触れない層の人もいますから、そう思うとたかだか一介の企画乗車券が180人に1人の割合で売れているのはかなりの絶好調なのではないでしょうか。

鉄道好きが利用するのはある意味当然だと言えますが、一般の人にも広く、しかも全国的に普及していることはとても偉大です。特に、日本は鉄道とはいっても国鉄(JR)ではカバーしきれていない、私鉄等のエリアも結構あります。そのような地域に住んでいる人間すらも、わざわざJRの駅へ出向かせてまで使おうとさせる魅力は計り知れません。私も、東京に来る際にJRが最寄り駅のところに住もうと考えたのは、JRが好きということもありますが、そのJRが好きな理由の一つは、この切符があるからでもあります。

ところで、みなさんはどれくらい青春18きっぷを買ったことがありますか?私は、ワンシーズンでも最大2枚程度です。2枚あれば10日間使えるので、結局それぐらいで十分になってしまいます。ワンシーズン自体が1ヶ月ぐらいありますからね。年間では4枚か5枚ぐらいでしょうか。長距離旅行をくり返す場合は、青春18きっぷ以外の切符も組み合わせるというのもそこまで枚数が多くならない理由でもあります。

私は全線乗車だとか、実家に帰るためだとか、旅行ではあっても観光ではない(旅行と観光は明確に意味が異なる)ことばかりを目的として18きっぷを使ってきたので、普通の人にとっては全く面白くない旅行であることは間違いないです。ただ乗るためだけ、それだけをひたすら目的として使ってきました。この切符がなければ、全線乗車などしようとも思っていなかったかもしれません。ですが、目的は人それぞれ。逆に私が日帰りでちょっと遠くへ行くだけの目的で18きっぷを使っても楽しめません。乗りに乗りに乗りまくらないと満足しないのです。

年間67万枚の切符には、恐らく1人1人、違ったいろいろな思いがあるのでしょう。

青春18きっぷでJR以外に乗れる区間がある!

青春18きっぷについて」のページでしつこく書きましたが、青春18きっぷはもちろん、ほかのJR線の切符でJR線以外の路線(私鉄線など)には乗ることができません。JRで売っている切符なのですから、JR以外で乗れないのは当然です。

ところが、2010-2011年冬シーズン以降、18きっぷの注意事項にある文言が追加されました。実物で確認してみましょう。

 

18ticket220701▲2010年夏シーズン発売の切符

18ticket221201▲2010-2011年冬シーズン発売の切符

5番目の項目に、「ただし青い森鉄道線の青森~八戸間については、通過利用する場合に限り普通列車の普通車自由席に乗車できます。当該区間の青い森鉄道線で下車した場合、別に運賃が必要となります。」という二文が追加されています。

ちなみに、これは「常備券」と呼ばれるタイプの18きっぷで限られた一部の駅でしか販売されていない様式なのですが、普通に駅で買える(いわゆるマルス券の18きっぷ)でも同様の注意事項が書かれています。

これは、2010年12月の東北新幹線八戸~新青森開業に伴う東北本線八戸~青森の経営分離を踏まえたルール改定なのですが、2015年3月の北陸新幹線長野~金沢開業に伴って、同様のルールが「IRいしかわ鉄道線(金沢~津幡)」および「あいの風とやま鉄道線(高岡~富山)」(どちらも元北陸本線)に設定されています。

つまり、先に挙げた青い森鉄道線青森~八戸も含めて、2015年春シーズンの時点で3区間のJR以外の路線に乗車することができるのです。

これは一体なぜなのでしょうか? 路線図を用意しましたので、そちらで対象区間とその周辺のようすを確認してみましょう。

railmap_hokuriku_tohoku

左が金沢・富山地区で、右が青森地区の路線図です。

先に申しておきますが、基本ルールの青春18きっぷで乗車できるのは、黒線で描かれたJR在来線のみです。

どちらの地区も、新幹線が通っていることが目立っていると分かると思います。新幹線そのものはこのルールに直接影響していないのですが、間接的に触れることになります。

「第三セクター鉄道線」というのが何か分かりますか?全部がそうというわけではないのですが、基本的に「国鉄末期頃から廃止対象とされた赤字路線が、鉄道そのものは残したまま、経営が都道府県・自治体が運営する第三セクター会社に移管され、営業している路線」のほとんどが第三セクターだといって構いません(要は都道府県・自治体が運営する企業のことです)。

新幹線と並行する在来線の場合、わざわざ新幹線を開業するくらいですから、決して廃線にするほど大赤字だったというわけではありません。ですが、新幹線ができて、今まで在来線を走っていた特急列車が全て新幹線に移ると、残されるのは地域輸送を担う普通列車のみになり、過疎化・高齢化の進む地方では経営はより厳しくなります。そのため、1997年以降開業の整備新幹線は、多くの区間で並行在来線の経営分離が行われました。具体的には、長野新幹線と同時に廃止・三セク会社として開業した元信越本線、現しなの鉄道線の軽井沢~篠ノ井が最初の例です(高崎~横川および篠ノ井~長野はJRとして存続、横川~軽井沢は路線自体が廃止)。

上にあげた金沢・富山地区と、青森地区では、それぞれ金沢~富山(~長野)と(盛岡~)八戸~青森が該当します。

しかし、今までの経営分離区間は、JRでなくなったからといって18きっぷが使える特例のようなルールは設定されず、乗れなくなるだけで終わっていました。ではなぜ、この3区間だけは特例が設定されたのでしょう?

もう一度路線図を確認してみてください。金沢・富山地区では氷見線城端線、青森地区では大湊線に注目してみてください。氷見線と城端線は新高岡駅でJRの北陸新幹線と接続していますが、ほかのJR在来線とは接続していません。大湊線の場合、新幹線とすら接続しておらず、JRとしては完全に離れ小島の路線となってしまっています。また、図からははみ出ていますが、同様に七尾線八戸線もほかのJR在来線と接続していない、離れ小島となってしまっています(七尾線に関しては、大湊線と同様新幹線とも接続していない)。

これらの路線は、新幹線が開業する前までは北陸本線や東北本線、つまりほかのJR在来線と接続しており、青春18きっぷでも自由に行き来することができました。それが、新幹線開業とひきかえに青春18きっぷでの通行路が閉ざされてしまったのです。

しかし、離れ小島となってしまってもJR線である以上、青春18きっぷで乗ることは出来ますし、不便になることは鉄道会社ももちろん理解しています。それどころかこれら離れ小島の路線でも青春18きっぷは売っています。そのためこの特例ができたのです。

切符のルールを見返してみましょう。「通過利用する場合に限り」と書かれています。たとえば大湊線の場合、青森から先の奥羽本線・津軽線は今まで通り全国のJRネットワークに繋がっていますから、青森~野辺地を乗れれば、東京や北海道に行くこともできます。このように、「全国ネットワークと離れ小島を中継する」という役割が、この3つの特例区間にはあるのです。

そのため、特例区間の途中駅では下車することが出来ません。ただし、途中駅であっても大湊線の駅でもあるとみなされる野辺地に関してだけは、降りることが出来ます。

そりゃあ、降りられれば便利なことは間違いないですが、そもそもJRでなくなった以上普通に考えたら乗れなくなるのは当たり前のことなので、特例があるだけでもありがたいでしょう。降りたいなら、素直に諦めてほかの切符を買うか、この区間の運賃を別途払いましょう。

また、落とし穴が一つあって、金沢・富山地区のうち津幡~高岡には乗れないということが挙げられます。特例区間は、あくまでも金沢~津幡と高岡~富山に別々に設定されているのです。これは先ほど説明した「全国ネットワークと中継する」ということが理由です。

七尾線が金沢まで繋がっていたら、そこから先の北陸本線で福井や関西方面に行くことができます。では。氷見線と城端線はどうでしょうか。実は、富山まで繋がっていれば高山本線で岐阜・名古屋方面に行けるのです。七尾線から氷見線に青春18きっぷだけで乗りに行こうと思ったら、

津幡(IRいしかわ鉄道線)金沢(北陸本線)米原(東海道本線)岐阜(高山本線)富山(あいの風とやま鉄道線)高岡

という最短距離の何十倍もの大回りをしなければなりません。あくまで全国ネットワークのどこかと繋がっていればいいだけなので、このようなことになっているのです。

 

以上のように特例について説明してきましたが、青春18きっぷのルールが悪いというよりも、そもそもJR線が経営分離されることが悪いのです。確かに儲からなくなる路線ではありますが、普通運賃の値上げなどもされ、元より市民生活に悪影響を与えることは明らかです(それでも地域密着になる分、普通列車の増発や新駅開業などで利用客および収入の増加のためにいろいろな策を講じている)。

また、今後北海道新幹線開業に伴う江差線(木古内~五稜郭・函館)や更に先の札幌延伸開業、ほかにも北陸新幹線敦賀延伸に伴う北陸本線(敦賀~金沢)の更なる経営分離が決定しています。そうすれば、離れ小島になる路線はもっと増えてしまいます。それどころか、中継する第三セクター鉄道線の距離も、馬鹿にならないほど長くなってきます(敦賀~福井~金沢~津幡など)。

そうなると、今は特例で済まされている切符のルールも、もっと大きな改訂をせざるを得なくなるかもしれません。

近いうちに、来年2016年の北海道新幹線新青森~新函館北斗の開業によって、本州と北海道を結ぶ津軽海峡線から在来線列車が消滅してしまいます。と同時に、このままでは青春18きっぷでは乗れなくなってしまいます(この区間は元々特急しか走っていないが、特例で青春18きっぷでも乗れるところがある)。

今後、JR6社がこのような区間に対してどのような措置をとっていくのか、あるいはとらないのか。鉄道ファンのみならず、旅行者や地元の方からも大きな注目を集めているのです。

もしかすると、青春18きっぷで思う存分旅することは、今のうちしかできないのかもしれません・・・・・・。