静岡は本当に鬼門か?青春18きっぷと静岡県

青春18きっぷで東京と名古屋・大阪の間を移動したことのあるみなさん、こんにちは。みなさんは某アンダーグラウンドな掲示板でこんなものを見たことがありませんか?

楽しい静岡の旅
新鷲新弁舞高浜天豊磐袋愛掛菊金島六藤西焼用安静東草清興由蒲新富富吉東原片沼三函熱
所津居天阪塚松竜田田井野川川谷田合枝焼津宗倍岡静薙水津比原蒲川士原田 浜津島南海
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇普通

こんなものは馬鹿にしている人間が書いているわけですが、私は決して辛いとは思いません。ではその根拠と、なぜ人々から文句がでるのかを見ていきましょう。

日本全国18きっぷで移動してきた身からすれば、こんなものなんともない

大阪出身で現在は東京に住んでいる私は、実家に帰るときに青春18きっぷを使うことも多々あります。もちろん大阪に住んでいた頃から全国に行っていたので、東海道線は既に何十往復も利用しています。新幹線を使うことだってそれこそもちろんありますが。まぁ早い話が「慣れ」と「自分の身に合っているか」の問題なのですが、それでは納得しないでしょうから、具体的にこの「静岡鬼門論」に反論していきましょう。

1.駅間距離と表定速度

ここで、私が実家に帰る際によく使う列車を見ていきましょう。JRの最寄り駅が高田馬場なので、品川からの東海道線の始発列車には乗れないのですが、実は始発に乗ったとしても後々同じ列車になってしまうので、始発の次のに乗る方がむしろ所要時間は短くなります。

普通 725M・普通 723M
品川~小田原(725M)、小田原~熱海(723M)
品川5:10発、熱海6:45着 通過駅間数 26(いわゆる「京浜東北線」の駅を含む)
所要時間 95分 距離 97.8km 表定速度 61.8km/h
停車駅同士の平均駅間距離 5.4km

普通 425M 熱海~浜松
熱海発6:49、浜松着9:19 通過駅間数 33
所要時間 150分 距離 152.5km 表定速度 61.0km/h
停車駅同士の平均駅間距離 4.6km

新快速 3459M 長浜~姫路(乗車区間 米原~大阪)
米原発12:20、大阪着13:43 通過駅間数 34
所要時間 83分 距離 110.5km 表定速度 79.9km/h
停車駅同士の平均駅間距離 7.9km

ちなみに大阪から東京へ行くときは、早朝に新快速が走っていないため京都から米原まで各駅停車の快速に乗ることになります(早朝は高槻までではなく京都まで快速運転)から所要時間は余計にかかります。

初心者向けに「表定速度(ひょうていそくど)」について解説しますと、

ある駅からある駅までの距離 ÷ ある駅からある駅までの所要時間

 = 表定速度

です。「平均速度ってことか」と思う人もいるかもしれませんが、実は平均速度とは違います。鉄道の場合、平均速度は「停車時間を考慮しない所要時間」で割ったもののことを言います。ので、平均速度ではなく表定速度の方がよく使われます(停車時間を考慮しない分平均速度の方が少し速くなる)。

朝方には東京口も快速が走っていないので、もし快速に乗れれば少し所要時間は短くなるでしょうが、昼間でも接続によっては普通列車に乗る場合もかなり多いので、あまり変わらないと見てもよいでしょう。

ご覧頂いているように、新快速はかなり速く、駅間距離も長めであることが分かると思います。しかしその一方で、熱海~浜松の普通列車は品川~熱海の列車とほとんど変わらないことも分かると思います。もしかするとこれには驚かれる方も多いかもしれません。静岡の東海道線は決して遅いというわけではないのです。

2.車両、ダイヤ、路線をとりまく環境

静岡地区でお世話になることになる車両は、211系、313系のどちらかです。

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▲左(上)が211系、右(下)が313系。

どちらも1編成3両で組成されていて、2編成6両で運行される列車もあります。座席はロングシートですが、東日本で運行されているE231系、E233系と比べても申し分ない、むしろそれら以上の座席です。トイレは313系のみについていて、211系にはないのですが、両形式が併結されている列車もあります。

熱海~浜松・豊橋間は、最も運転間隔が長いところでも20分に1本列車が来ます。静岡中心部の興津~島田なら10分に1本は来てくれます。私はやりませんが、途中の駅で降りて何かしてからもう一度乗りなおす、なんて気ままなこともやりやすいダイヤです。

3.私見的なこと

東海道線を何十往復もして一体何をしているのかと聞いてくる人もいるでしょうが、実は毎回全区間ずっと寝てます。というのも、始発から移動するにあたって、前日そもそも寝ていないことが多いのです。乗りなれている区間なので乗り換え駅も時間も毎回同じ、ほかにする仕事もないので寝てるだけで何もしていません。ほとんどの列車が終着駅まで乗りっぱなしなので寝過ごす心配もなく心置きなく寝てます。「座れるのか?」と疑問の人もいるでしょうが、少なくとも私は座れます。乗り換えのときに別にもたもたしているわけでもないので、普通にやっていれば普通に座れます(但し大阪に行くときの大垣~米原だけはわざと立つことも多い)。寝てれば本当にびっくりするぐらいあっという間に着きます。9時間がもったいないくらいです。

 

なぜ文句が多いのか

1.そもそも静岡県域自体が広い

静岡市葵区が極端に縦に長いことは有名ですが、静岡県そのものが東西方向にも長いです。とりわけ東海道本線の中でも、東京、京都、大阪の各都府はかするほどしか通らないので、体感的にあっという間に過ぎてしまうように感じるのです。そんな人が根室本線に乗ったらきっと発狂してしまうことでしょう。いつまでたっても北海道ですから。

2.すぐ横をのぞみがばんばん走っている

普通列車だけを使うと9~10時間かかりますが、のぞみなら2時間25分です。しかも多い時間帯では1時間に10本も走っています。普通列車より多いです。ところが、こだまで一駅間だけ使ったとしても1500円ぐらいかかります。青春18きっぷ1回分が2300円とちょっとですから、相対的に新幹線が割高に感じます。別に新幹線の価格設定が高すぎるとは思いませんが……。青春18きっぷが安すぎるだけです。

3.前後の区間と雰囲気が異なる

特に西側、名古屋・大阪方面に関して言えることですが、停車駅の少ない快速系列車が多く走っています。それ自体は最初に上げたように駅間距離も表定速度もそこまでめちゃくちゃ変わらないのですが、座席が違ったりします。もともと現在の静岡地区は近・中距離利用が主たる利用者ですから、長距離乗車は考慮されていません。いわば通勤通学・日常の生活利用ですから、青春18きっぷの使用期間でなくてももともと混んでいます。

4.ほかにも辛いと思われる区間は多いが、ここは利用者が多い

東北本線や山陽本線も、全部乗っていればそれはもちろんそれ相応の時間がかかります。しかし、そういう人はそもそも東北本線や山陽本線には乗らないのです。東海道本線しか使ったことがないのです。それは、「東京~名古屋・大阪」の利用者が多いからにほかなりません。ほかの路線はそもそも辛いとか言う感想自体が沸いてこず、東海道本線だけが取りざたされているのです。

 

さて、ここまで挙げてきましたが、私が日頃思っている最も辛い区間を紹介しましょう。それは

中央本線 中津川~塩尻

です。愛知・岐阜方面から長野へ向かう経路です。まず、2時間に1本しか来ないので、そもそも計画を組む時点から困難を極めます。同じ区間を特急列車が毎時1本走っているので、どんどん抜かれていきます。単線ですから対向列車の交換待ちもあります。2両の列車がほとんどなので、狭いボックス席にいろいろな人が詰め込まれます(今は転換クロスシートの車両に変わったが)。

東海道本線ほど何十往復も使ったわけではないですが、この区間は何度乗ってもこわばります。それでも、寝てしまうのですが……。